大阪地方裁判所 昭和43年(む)85号 決定 1968年6月28日
主文
本件忌避の申立を却下する。
理由
本件忌避申立の原因は、前記業務上過失致死被告事件記録に編綴されている第九回公判調書(手続)、弁護人細見茂、同藤田一良、同金谷康夫、同豊川正明、同並河匡彦、同岡村渥子作成名義の忌避申立理由書、同豊川正明作成名義の忌避申立の理由書、同山下潔作成名義の忌避申立書に記載のとおりである。
ところで右記録によれば本件忌避の申立は、昭和四三年三月一八日右被告事件第九回公判期日においてなされたことが明らかであるが、同年六月二二日付の大阪地方裁判所事務局長梶彦兵衛作成名義の「水沢裁判官の転任について」と題する報告書によると同裁判官は、本件忌避申立後である同年四月五日付で東京地方裁判所判事兼東京家庭裁判所判事(いずれも八王子支部勤務)、八王子簡易裁判所判事に補する旨発令せられ、遅くとも、翌六日にはその旨の通知を受け、同日転補庁に出発したことが認められ、その後大阪地方裁判所判事職務代行を命ぜられた形跡はない。
従って同裁判官は、本件忌避申立に対する決定前において右被告事件の審理担当から離れたことが明らかであり、本件忌避申立はその目的を失ったものというべきであるからこれを却下することとし、刑事訴訟法二三条二項により主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 松浦秀寿 裁判官 黒田直行 中根勝士)